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睡眠時無呼吸症候群について
睡眠は体だけではなく脳を休ませるという重要な役目があります。深い睡眠中には体の維持に必要なホルモンが分泌され、副交感神経が働き自己免疫力を高めます。そのためストレスや不規則な生活により睡眠の質が低下すると健康に悪影響を及ぼし、免疫が低下し、感染症や癌の発症リスクが増加すると云われています。
睡眠障害の原因の一つに「睡眠時無呼吸症候群」があります。
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome=SAS)とは就寝中に何度も息が止まってしまう病気です。夜寝ている間に息が止まると換気が低下し血液中の酸素濃度が減少します。これは体にとって危険な状態であり、息をするために脳が覚醒し呼吸を再開させます。本人が自覚していなくても無意識のうちに何度も目覚めているので、朝起きても何となくすっきりせず疲れが取れない、頭痛、イライラ、口喝などの症状や、日中過度の眠気のため居眠り運転による交通事故、作業能率の低下など社会生活にも悪影響を及ぼします。また、本来睡眠中は休んでいるはずの交感神経が活性化し、血圧や血糖が上がりやすくなり、生活習慣病の悪化につながります。特に高血圧症で降圧剤の効きが悪い場合や、夜間早朝の血圧が高い場合はSASの合併が疑われます。
体の酸素不足により心臓や血管に負担がかかり、心筋梗塞、脳卒中などの頻度も増えると云われています。重度になると血液中のヘモグロビン濃度の上昇や急性期蛋白物質が出て血栓や炎症の前段階となることもあります。
SASの病因は呼吸のための気道を保つ筋肉が睡眠中にゆるみ、上気道が閉塞することです。肥満により上気道周辺の首回りに付いた脂肪がSASの原因の一つです。扁桃など上気道軟部組織の増大や鼻中隔彎曲などによる鼻閉、舌が大きいなども原因となり、小顔のやせている女性でも顎が小さいため睡眠中の舌の落ち込みで舌が収まりきらず気道を塞ぎSASとなる方もいます。高齢の方でも起こります。
特徴的な症状は大きないびきと無呼吸です。完全に気道が閉塞するといびきが急に止まり、しばらくして喘ぐように呼吸が始まります。1分以上呼吸が止まっていることもあります。家人にいびきや無呼吸を指摘されたり、昼間の眠気が強いなどSASが疑われる場合は検査を受けられることをお勧めします。まず自宅で睡眠中の酸素飽和度、鼻・口の気流やいびきの有無を調べます。自宅での簡易検査で重症の場合は治療を開始しますが、中等症以下でも入院して更に詳しい検査を行うことで正しく診断出来る場合があります。夜に入院し睡眠中に検査を受け翌朝出勤出来るので、お仕事を休まなくても受けられます。
SASの診断が付いた場合、治療はまず生活習慣の見直しです。1週間を通して就寝・起床スケジュールの調整を行いましょう。肥満のある方は適正体重を目指します。飲酒は気道の筋肉が弛緩し無呼吸を悪化させる作用があるため寝る前の飲酒は控えます。SASには禁煙も大切です。横向きに寝ると重力で舌がのどの奥に落ちるのを防げます。中等症以下の場合はマウスピース(oral appliance)を使用することもあります。
不眠のあるSASの患者さんはSASの治療をすることにより睡眠薬が要らなくなることもあります。睡眠薬は種類により無呼吸を悪化させることがあり注意が必要です。
SASの最も有用な治療法は持続陽圧呼吸療法(CPAP)です。CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)という器械を用いて加圧した空気を鼻マスクから送り、ノドを開いて呼吸が止まるのを防ぎます。安全確実で生命予後をも改善します。もちろんバランスの良い食生活、適度な運動は良質な睡眠とともに健康維持に役立つことは云うまでもありません。
いびきが気になる方、SASについてご質問がある方は問い合わせ下さい。
(参考文献:「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」 等)







