ノエル通信

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VOL.20
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Vol.22

みなさまのお役に立つ情報や楽しい話題をお届けしようと思います。ニュースレターの名前は「ノエル通信」です。どうしてノエル通信なんでしょうね。その不思議にも追々せまってみたいと思います。

診療内容

他誌に掲載した記事ですが(一部改変)当院患者様にもお届けします

原発性アルドステロン症を知っていますか~高血圧の原因を知って適切な治療を~


わが国には人口の約男性30%、女性25%の高血圧患者さんがいると言われています。
高血圧の約9割は“本態性高血圧症”といい、加齢・遺伝などが関係して血圧が上がってきますが、残りの約1割は他に原因があって血圧が上がってくるため、“二次性高血圧症”と言われています。二次性高血圧の中で最も多いのが“原発性アルドステロン症”(注)です。原発性アルドステロン症は以前考えられていたより頻度が高いことが解り、2021年10月に『原発性アルドステロン症診療ガイドライン』が発刊されました。

アルドステロンという恐竜の名前(?)のような物質は副腎から出ているミネラルコルチコイドというホルモンの一種で、体内に塩分や水分を貯め込み血圧を上げる作用があります。そのためアルドステロンが過剰に産生されると難治性の高血圧になります。また、アルドステロンはカリウムというイオンの排泄を促進させるため、低カリウム血症をきたすことがあります。

原発性アルドステロン症の原因には左右副腎のどちらかに腺腫という良性のおできが出来る場合と、両方の副腎が腫れる場合(過形成)とがあります。

本態性高血圧症と原発性アルドステロン症では同じ程度に血圧がコントロール出来ていても、原発性アルドステロン症の方が脳卒中や心血管病、慢性腎臓病に至ってしまう頻度が高いことが解っており、また、糖尿病や睡眠時無呼吸症候群を合併することが多いため、一般の高血圧患者さんの中でも原発性アルドステロン症が疑わしい場合はきちんと診断する必要があります。

診断にはまず、血液中のアルドステロンとレニンと言う物質を同時に測定してその比率を計算します。その結果、原発性アルドステロン症が疑わしい場合は腹部CTなどで副腎に腺腫があるかどうかを調べます。

治療は副腎腺腫が原因の場合は手術で治ることがあります。手術を希望しない場合、また、副腎腺腫がはっきりしない場合は降圧剤による治療を行います。その場合原発性アルドステロン症に、より効果の大きいミネラルコルチコイド受容体拮抗薬と言うお薬を使用します。このお薬はアルドステロンの働きを抑制して体内の塩分を排出したり、心血管系の炎症や線維化による臓器障害を抑え、保護する効果があります。これらの治療をすることにより高血圧の合併症リスクが軽減します。減塩や肥満の改善への取り組みは本態性高血圧症と同様大切です。

特に、若く発症した高血圧、通常の薬物治療で血圧がうまく下がらない場合、カリウムの値が低い場合などは一度原発性アルドステロン症の検査を受けてみてください。

(院長 橋爪喜代子)



注)“原発性アルドステロン症”は1955年にConn博士が34歳女性の高血圧患者さんを最初に報告し、“コーン症候群”とも呼ばれていました。
その後、副腎からのアルドステロン過剰分泌を示す疾患が多く知られるようになり、原発性アルドステロン症の病名が広く使われています。
      参考文献;日本内分泌学会雑誌 Vol.97 Suppl. October 2021 等

【 外食や中食の多い方への減塩の工夫 】

今回は特に外食や調理済の総菜やお弁当の多い食事パターンの方にあわせた減塩のコツをお伝えします。
・栄養成分表示の食塩相当量をチェックする
・弁当の漬物や梅干しを控え、付属のソースやしょうゆを使い切らない
(梅干し1つ(10g)で約2g、付属のしょうゆを控えると0.5gの減塩)
・野菜、果物をしっかり取る
・麺類の汁は残す(全部残すと約2-3gの減塩に)
カップ麺の添付スープを半分しか使わないのも有効です
一般的に、主食に味が付いているもの(丼やカレーライス、麺類)は、塩分が過剰になりがちですので、なるべく定食や弁当形式のほうが塩分も調整しやすくなります。毎食少しずつ工夫して、6g/日未満を目指しましょう!
他にも肥満の予防や改善、節酒、運動など生活習慣の改善も大切です。

(監修:管理栄養士 東)

スタッフを紹介します

毎月奇数の土曜日にナースエイドとして勤務している玄元(げんもと)です。
思いがけないことが起こる昨今、みなさまは、どのようなことを心がけておられますか。

私は、毎年、キーワードを決めているのですが、今年は「バランス」としました。バランスの取れた食事、食事と運動、人間関係まで、うまくバランスを取って過ごせたらと思っています。よろしくお願いいたします。

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